このたび、Hideharu Fukasaku Gallery Roppongi では吉田絢乃の個展「Nesting material」を開催致します。系列画廊を含め今回3回目の個展です。
「ひとの抜け殻」をテーマに制作を続ける吉田は、使い込まれた手帳や脱ぎ捨てられた洋服・家主のいなくなった部屋などをモチーフに、所有者の存在・行動の痕跡を掬い上げ、表現に落とし込みます。そうすることで、所有していた本人を目の前にする以上に、その人の存在感・人となりが際立ちます。吉田の制作姿勢は、長い年月を経た道具には神や精霊が宿るという日本古来の考え方に通じるものです。
「人が存在していた部屋や使用していた家具、そこに残る体温や匂い、使い込まれたことによってできた傷や汚れなど行動の痕跡は持ち主の生活や歴史を想起させます」と吉田は語ります。今展は、モノは使われることで所有者の生活と密着したものになり、その人そのものになることを実感する機会となるでしょう。
本展では、質量感あるマチエールが見る人を圧倒させる作品を紹介予定です。人とモノが紡ぐ物語をご高覧ください。
※作家名「吉」は、下が長い「つちよし」表記になります。