このたびHideharu Fukasaku Gallery Roppongi では官野良太の個展を開催致します。作家の4回目にして、日本では初めての個展です。
官野は長らく脱活乾漆と呼ばれる古来より仏像制作で用いられる技法で人体彫刻を制作していましたが、新型コロナウィルスの蔓延に伴う生活環境の変化をきっかけに、人の内面や記憶にまつわる作品を作り始めます。現在は海やプール・水槽などをモチーフに、樹脂を素材に光の反射や透過の現象を作品に取り入れた「光の彫刻」を発表しています。「光の彫刻」とは美しい形態を模倣するのではなく、人が本能的に美しいと感じる色や形・自然現象の持つ美を融合しようとする試みです。本展が、私たちが感じる美しさとは何かと考えるきっかけになれば幸いです。
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■作家略歴 官野良太(Ryota Kanno) 神奈川県横浜市生まれ 多摩美術大学彫刻学科 卒業 東京藝術大学大学院美術教育 修了
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■作家ステートメント
これは、「光の彫刻」である。
人が本能的に美しいと感じる色や形を探りたい。そして自然現象が持つ普遍的な美を取り入れたいという考えを、制作のきっかけにした。
私はこの作品制作を通して、彫刻と自然現象が混じり合うのかどうか、模索している。私が彫刻を通して作りたかったのは、「光」との調和である。
大海やプール、水槽にインスピレーションを受けて、光を反射し、透過する現象を作品の要素に取り入れた。
これは、人工的な樹脂という素材で、自然を連想させる存在感を生み出そうとする試みである。
日常に潜む美を表した「光の彫刻」を、のぞき込んで見てほしい。