このたびHideharu Fukasaku Gallery Roppongi では、11月16日(土)より足立篤史の個展「Over to you」を開催します。
足立は古い新聞紙や雑誌などの印刷物を素材に立体作品を制作・発表しています。特別賞を受賞した「第26回岡本太郎現代芸術賞」(2023年)では、第二次世界大戦時に日本で開発実装された特攻兵器「桜花」を当時の新聞紙を用い実物大で再現、反響を呼びました。
足立はこの世の物には、“モノ”が存在した当時の時代・歴史だけでなく、人々の生活・経験・教訓などが刻まれていると考えています。目には見えなかった記憶だけの存在を、当時の新聞・雑誌などの印刷媒体を用いて形を与え、記録することを大切にしています。印刷物を用いるのは単なる記録資料ではなく、これらから当時の空気・記憶の存在自体をリアルに感じるきっかけにしてほしいという思いが込められています。
今展のタイトル「Over to you」とは、飛行機などの無線交信の終わりにつける「どうぞ」の意味です。当時存在したものを形にすることで記録が未来へ伝えられると同時に、現在の私たちが過去の記憶を知る機会になればという足立。作品を通じて人々の記憶・思いの繋がりを感じていただければ幸いです。