このたび、Hideharu Fukasaku Gallery Yokohamaでは、2024年3月4日(月)より日下正彦個展『葦は考えない』を開催致します。
岩手県奥州市出身の日下さんは、東京造形大在学中に立体作品を作り始めた。卒業後、作家として活動する中、1986年にチェルノブイリ原発事故が発生した。2011年3月11日、恐れていた原発事故が現実となった。恐怖とともに怒りがわいた。「自分にできることは何か」。「人災とも言える事故を批判できるのは人間以外だ」と考え、長年作り続けた犬をモチーフにした作品での表現を模索しています。
今回の展示タイトル「葦は考えない」について、『葦は考えない。少なくとも世界のすべての生きものを巻き添えにして終幕をもたらすようなことはしない。もし、私達考える葦に人間としての尊厳を保てる最後の望みが寸分でもあるとしたら、考えない輩に対して長敬の念を抱き、私達こそ劣った生きものである事をふたたび自覚し行動することしかないと思う。』
日下正彦 Kusaka Masahiko
1957年 岩手県生れ
1983年 東京造形大学絵画科卒業
大学在学中より画廊、美術館、野外等で漠たる作品を多数発表してきたが、2011年3月東京電力福島第一原子力発電所事故以降、人間と云う愚かな動物の罪深い歴史に落胆すると同時に、自身の表現活動もまったくその一つでしか無いことに気がつく。
現在、人は他の生き物に必要とされているのかと云う命題の元、人間の足元にいてそれでも付き合ってくれている愛玩動物にすがり、自分の存在の整合性を犬の作品を通し探し続けている。
今回の展示タイトル「葦は考えない」について──
(人間の尊厳のすべては考えることのなかにある。)
私達はこれまで当たり前のようにこの先人の言葉を信じてきた。
しかし、今日、目に映り、耳にする世界がその結果の産物だとしたら、
よっぽど最悪な(考えること)の集積であるか、好んで破滅への道を進み続けてきたとしか思えない。
もしかして、(人間の尊厳のすべては考えることのなかにある)という認識こそ大きな勘違いではなかったか。
葦は考えない。
少なくとも世界のすべての生きものを巻き添えにして終焉をもたらすようなことはしない。
もし、私達考える葦が人間としての尊厳を保てる最後の望みが寸分でもあるとしたら、
考えない葦に対して畏敬の念を抱き、私達こそ劣った生きものである事をふたたび自覚し行動することしかないと思う。
私がポチに近づきたいと思うのも、(私がポチをつくるのも、) 毎日黙って葦とヒトとの間に立ちその事を忠告してくれているからだ。