このたびHideharu Fukasaku Gallery Roppongiでは、ガラス造形作家 高橋まき子の個展を開催いたします。
高橋は古代メソポタミアに起源をもつガラス技法「パート・ド・ヴェール」(色ガラスの粉末などを型に入れて焼き上げる技法)で作品を発表しています。モチーフは高橋が見る夢に現れる不思議な生き物です。この生き物を高橋は「幻獣」と名付け、その形状をガラスで再現しています。作品の幻想的な佇まい・鮮やかかつ繊細な色遣いは、ガラス粒の種類・色や濃淡を細かく調整することで表されます。
幻獣に形を与える行為とは、高橋にとって自身の内面と向き合う行為でもあります。自分と向き合うことは時に孤独と不安と向き合わなければなりません。しかし、孤独と不安に目を背けることなく対話を続けることで、却って外側への意識と繋がり安心感が得られると高橋は言います。それは無意識の領域でも私たちの心が共鳴しているサインであり、それを大切にしてほしいとも語ります。
SNSの普及で私たちは容易に世界と繋がるようになりました。一方で溢れる情報に振り回されることも増え、心の平穏を保つことが難しくなっています。幻獣を通じて自分自身と自由に語らうきっかけになりましたら幸いです。
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■高橋まき子(Makiko TAKAHASHI) 1998 武蔵野美術大学短期大学部工芸デザイン科卒業 2000 東京ガラス工芸研究所卒業