このたびHideharu Fukasaku Gallery Roppongiでは、一条美由紀の個展を開催致します。
一条はイラストレーターとして活動後ドイツに留学、デュッセルドルフ美術アカデミーで学び、修了後も現在に至るまで自身の心と徹底的に向き合い表現することを続ける作家です。ドイツより帰国後は長期間制作を中断していましたが、その後作家活動を再開、それまで以上のペースとエネルギーで作品を発表しています。
一条の表現は油彩、ドローイング、版画にとどまらず、透け感のある布に木炭や絵の具で描く・ドローイングを描いた布を箱に巻きつけたインスタレーションを設置するなど多彩です。そこに描かれる人物や動物は、身体の一部が欠損していたり、あるいは、あるはずのない場所に身体の部位が付属していたりと不完全な形象をしています。そこには現代を生きる私たちが抱える不安や孤独が映し出されているようでもあり、観る者の心にざわめきを呼び起こします。一方で、その異形の姿はどこかユーモラスでもあり、淡々と物事を見つめる作家の眼差しも感じさせます。
本展では様々な体験を積み重ねてきた一条が、自身が理解しうる自分自身と動き続ける世界について感じたままを表現した作品を紹介致します。
(展覧会コンセプト)
「方舟の乗客名簿」
U.C.1178年、多くの過ちによって、とうとうこの地球には住めなくなってしまった。
神は新たな地へ旅立つ方舟に乗船する人類やその他の生き物たちを選んだ。
方舟に乗船する人間たちはどんな人物なのだろうか?
神はどのような基準で人間たちを選ぶのだろう?
数限りある乗船客は見知らぬ地で、新たに人間の世界を築いていかねばならない。
その地は厳しい環境かもしれない。
その中で生き抜いていく人間たちに求められる条件はなんだろうか?
以前の人間社会での過ちは繰り返さないことを神は求めている。
神が選んだ人間たちの姿(作品)の下には、神が発行した“乗船券”がある。
また、乗船客が経験した過去の一部が“言葉”に象徴されている。
彼らがこれからの未来を気づいてゆくのだ。